自分用メモ。
久々に後輩の動画作業手伝ったのでその作業やらソフトやら。
作業は2212x1244の原画の3色トレス(Hi, 1影あり)、少量の中割。
[作業の流れ]
1.原画整理
原画がスキャン画像で提供された場合、ファイルをリネーム。複数セルある場合、タイムシート指定に従ってセル名+連番とする。修正原画は末尾にs。
pngはdpiを記録できるので意識しておくこと。XnViewでもIrfanViewでもチェック可能。
トリミングが必要ならかける。前回2212x1244で作業したので、これに準拠する形でLO枠の画像から2212x1244を切り出して、同設定で他の画像もトリミング。
2.印刷
常に指示書は見られるようにしておいた方がよいので印刷する。
タイムシートと、指示のある原画をコンタクトシートで印刷。コンタクトシート作成はIrfanView, XnViewで作れる。
デュアルディスプレイ環境であってもタイムシートと原画指示を両方表示しておくのはついめんどくさくなって、指示を見落としがち。というか今回ツメ指定を1つ見落としたのでこれは反省の上で考えた工程。
3.原画トレス
saiの2値ペン/2値消しでトレス。
原画をD&Dして不透明度落としてなぞる。使用するペンツールにショートカットを割り当てておくこと。拡大しすぎると綺麗だが作業効率落ちるのでほどほどに。
修正原画がある場合は、原画と修正原画を別レイヤに入れ乗算で重ねて不透明度を落としまず修正側をトレス。次に元原画の非修正箇所を適宜判断してトレス。
PhotoShop含め他のソフトでも可だが、トレスだけならどのツールでやっても機能面の有無では差が付かない。軽くて2値ペンが綺麗なsaiが優るように思う。
レイヤは分けても分けなくてもいいと思うが、合成するのは簡単なので分ける。黒はbレイヤ、赤はrレイヤ、青はbrレイヤとした。
トレス終わったら、原画レイヤを非表示にして保存。2.で指定を印刷しておかないと、ここで指定を落としてしまう原因になる。
今回自分のトレス能力が想像以上に低くて、100本あたり20分前後かかった。細かいカーブの揺れも全部拾ったのと、拡大しすぎ、やり直しすぎが原因と思う。速度は上げようと思えばいくらでも上がるが精度とのトレードオフ。なかなか難しい。
4.中割
中割に有用なソフトは2014/06現在ベストアンサーがなさげ。
FrameToonとPsAxeが候補。
自分が求める要件は、
(1)PhotoShop/sai/CLIP STUDIO PAINT ライクなペイントI/F
(2)1ピクセルで欠けないドットペン
(3)カスタム可能なオニオンスキン(色つき、色なし、透過枚数、固定参照)
(4)HD解像度以上での作画が可能(3000x2000くらいは欲しい)
(5)複数セルの合成、任意のコマ数、レイヤー機能
(6)外部画像からフレームを生成可能。連番を一括で取り込めたりD&D出来るとなお良い。
(7)軽快なプレビュー
(8)原画の参照が適宜可能ならなお良い
FrameToon(しじあに)は(2)(3)(5)(6)が○で、他が△。かなり条件を満たしているのだが、サポートが打ち切られており厳しいところ。openCanvas3準拠のインターフェースは今にしてみるとかなり使いづらい(回転戻すのがAltキーを単独で押して離すとか)し、カスタマイズも出来ない。Windowを行き来したときに、回転ツールがロックされるバグがある。大解像度で作業するとプレビューが動かない(低解像度でも30秒前後で限界が来る)。プレビュー窓に自動サイズ調整機能がないので大解像度のプレビューが難しい。プレビューも解像度が上がると遅い。書き出し形式が少ない。ホントにちょっと足りないところばかりなので、アップデートが続いていたらと惜しい限り。
PsAxeはPhotoShopのプラグインでレイヤーとタイムライン機能を使って中割をするツール。PhotoShop依存だが、(1)(2)(4)(6)(7)は○、他が△。レイヤーを始終並べ替える作業手順なので、割り間違いに注意する必要がある。複数セル・フレームごとの複数レイヤーの取り扱いはなかなか難しい。作業は白背景で進める必要がある。透明画像を扱う場合、オニオンスキンがうまくいかないので無理。出力時にまとめて透過処理をしなくてはいけない。色オニオンスキンは自前色調整レイヤーとかでやれないことはない。PhotoShopのスクリプト実行速度が遅いこともあって、並べ替えや透過処理にちょいちょい待ち時間が発生する。透過処理や諸々、現在の状態がどうなっているのか分からないケースがままある。ボタン押下ごとに状態トグルしたりするので、慣れはかなり必要。
この2つ以外では。
商用ソフトでは今のところTVPaintがもっとも高機能。PhotoShopと完全互換とも言い難く、キーカスタマイズも微妙に痒いところに手が届かない。100k近くする上、ドングル付きだし、なかなか手が出ない。PAP、ToonBoomは今のところちょっと直感的ではなく、PhotoShop準拠I/Fとはほど遠い。
将来的に期待できるソフトとしては、Krita, SketchBook Proが面白そう。KritaはAnimator Pluginなる物を開発している人がおり、これの成果が出ればTVPaint的なことが出来るかもしれない。当然オープンソースなので、これの作成に参加することも出来るがとりあえず最初のアウトプットは個人開発の雰囲気なので待ち。SketchBook Pro は企業用の2015でFlipBoard機能なるアニメ作成機能が実装された。企業用は試用できないのでまだ出来が分からないが、個人用にも将来的に搭載することが表明されている。早くて今年夏頃?
結局今回は、FrameToonを実作業に持って行くことは難しかったので断念。中割枚数自体も少なかったので、PsAxeを一部使いあとはsaiで乗算不透明度落としで中割した。動きの確認はPremiereで。セル単位での確認なら、画像ビューアでも結構行ける。Massigra, XnView, IrFanViewどれでも。
5.仮撮
Premiereで。今回はライセンスを保有している中では最新のCS6を使用。
psdを取り込んだり、セルを組み合わせて動かすだけの仮撮ならば圧倒的にAfterEffectsよりPremiereの使い勝手がよい。シーケンスレイヤーに並べ替える手間が無く、AEよりワンステップ作業を少なくできる。インターフェースが若干独特なので慣れる必要はある。
Ctrl+Rでデュレーションをいじれるのもよい。単色背景も作れるし便利。
注意点としては、シーケンスで指定したフレームオーダーが容易に変えられないこと。シーケンスで「偶数から」にして出力を「プログレッシブ」にしても強制プログレになったりしないため、線が欠ける。あとから変更が出来ないので、シーケンスを作り直して全素材をコピーし直す必要がある。
仮撮出力はH264が速いのでよいと思う。プロファイル上げきってしまえばHD以上のサイズでも出力できる。
6.出力
納品用にpngで出力、白背景の画像は白を透明にする、pngに解像度(今回は200dpi)を記録する。
Ralphaが強力。psd->pngはRalpha+susie pluginでいける。
Ralphaで全て出来るはずだが、透明色の指定がうまくいかないケースがあったので出力後に必ず確認すること。MassigraやXnViewが確認しやすいように思う。
IrfanViewの一括処理でも透明色設定・解像度記録ができる。ただしIrfanViewも透明色処理に何かバギーなところがあり、色反転したことがあった。やはり確認手順が必要。
確認ポイントは5つくらい。しょっちゅうやってれば削れるだろうけど、たまにしかやらないことなのでこのくらい気をつけて見る必要がある。
・全ファイル揃っているか
・透明色設定が出来ているか(ビューアで透明部分背景色を白以外にして確認)
・全色出力できているか(青・赤線が落ちていないか)
・解像度が記録されているか
・色反転しているフレームがないか
毎回出力ミスるのでまあ鬼門ではある。
zipで固めて納品。
うーん、速度が足りない。
あと、ホントこれが決定版っていう中割ソフトないのな。